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2020年08月04日
テレワークで「通勤手当」が減ると、将来の年金はどうなる?非課税手当が減ると不利になる理由(経営指導員T.K)
コロナによる影響でテレワークなど働き方が変わる中、通勤の形も変化を見せています。一部で通勤定期の見直しの動きがあり、大企業である富士通なども通勤定期券代の支給を廃止し、出勤時にかかった実費を精算する形に変更するなど、テレワークの普及に伴い通勤手当を減らす企業も増えています。
通勤手当が減るということは、家計にどういう影響があるのでしょうか? 考察してみました。
通勤手当と社会保険料の関係
さて、通勤手当が減ると、社会保険料も減る場合があります。給与明細を見ると、「支給」の項目には基本給の他にも手当があります。こうした各種手当を含めて税金や社会保険料が支払われているからです。
手当が減れば社会保険料は一般に減るのです。厳密には社会保険料は等級で決まるので報酬月額が33万円~35万円だと、健康保険料(介護保険含まず自己負担)は1万6779円、厚生年金保険料(自己負担)は3万1110円といった形で区切りのよい幅で変わります。ですので等級が変わらない場合は影響を受けない場合もあります(※)。
支払う社会保険料が減るのはありがたいかもしれません。ですが、健康保険料は掛け捨てですが、厚生年金保険料は将来の年金として戻ってきます。現役時代に会社から受け取った月収と賞与を合計した平均額と、厚生年金保険に加入していた期間で年金額が決まります。つまり、通勤手当が減れば将来もらえる年金額にも影響を与える(減る可能性が高い)ということです。
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非課税になる通勤手当
手当の中でも通勤手当として手当を受けると有利な側面があります。従業員に支給する手当は一般に所得の一部とみなされ課税対象に含まれますが、通勤手当のような一部の手当は非課税となるからです。
業務上必要なお金で国税庁によって定められた手当が例外として非課税の対象となります。
(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの
公共交通機関を利用する場合、非課税額の上限は15万円と定められています。
以前に外資系で勤務をしていた時に通勤手当が一律3万円弱でした。新幹線通勤で3万円以上かかる人も近くに住んでいる人も同じ金額だったのです。今考えると、できるだけ従業員に非課税で支給をしようと考えていたのかもしれません。外資系だと、所得税の低い香港やシンガポールなどと人材確保を競争しないとならないからでしょう。総支給額が同じでも、所得税、住民税、社会保険料などの控除によって手取りは大きく左右されるからです。
いかがでしょうか。実は非常に深い「通勤手当」。税金は非課税だけど、社会保険料の対象になる手当になります。そのため、意外にも将来の年金に影響を与える場合もあるのです。
※健康保険・厚生年金保険では、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と税引前の賞与総額から1000円未満を切り捨てた標準賞与額(健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算しています。